ゲーム制作において注意すべき特許


概要

ゲーム制作において注意すべき特許を紹介します。
「インディーのゲームでも特許侵害してそうなの知ってるよ。そんなに守る必要あるの?」と思うかもしれません。
しかし、知っている特許は確実に回避した方がいいと断言できます。
インディーや中堅以下のデベロッパーは、吹けば飛んでしまいます。
訴えられたら終わるので、万が一にも訴えられないようにしなければなりません。

タッチパネルでチャージ攻撃

特許第4262217号 任天堂株式会社

「タッチパネルを長押ししたあと、指を離したときにプレイヤーキャラクターが敵キャラクターに攻撃する」という内容です。
当初は、タッチパネルでなくポインティングデバイスであったり、プレイヤーとも敵とも明言されておらず、あるオブジェクトが別のオブジェクトに動作するという広範囲な内容でしたが、コロプラとの訴訟問題で権利範囲が狭まりました。
タッチパネルのみなのでPCのゲームには基本的に適用されません。
回避方法としては、「敵キャラクターではなく移動方向へ攻撃する」などがあります。

タッチパネルでジョイスティックのような操作

特許第3734820号 任天堂株式会社

いわゆる「ぷにコン」のことです。
直感的に操作できるうえに、画面上のどこにタッチしても操作できるので強力な特許です。
回避方法としては、「ベクトルの起点をタッチ開始座標にするのではなく一定時間ごとに現在タッチしてる座標に更新する」などがあります。

上限を超えてスタミナ回復

特許第6075673号 株式会社セガゲームス

「スタミナの上限を超えて回復する場合に一時的に上限を突破する」という内容です。
ユーザーのモチベーションを維持する仕組みとして、モバイルゲームではスタミナは欠かせないものとなっていますが、上限を超えて回復した部分が切り捨てられるとユーザーにはストレスです。
プレイヤーレベルが上がったときにスタミナが上限分回復するのはよくあるシステムですが、このとき一時的に上限を超えて回復すると特許侵害です。
回避方法としては、「上限突破分を別スタック(別ゲージ)にする」「上限突破分はプレゼントなどで配布する」などがあります。

シルエット表示

特許第3637031号 任天堂株式会社

「障害物に隠れたキャラクターのシルエットを表示する」という内容です。
Zバッファを参照してフレームバッファにキャラクターシルエットを書き込む、という内容なので、2Dゲームには基本的に適用されません。
3Dゲームでも、既にコナミの壁半透明の特許が切れているので、障害物を半透明にしてもいいでしょう。

リズムゲームの成否判定

特許第5923200号 株式会社コナミデジタルエンタテインメント

「『beatmania』シリーズのような基準となるラインがあるのではなく、複数のアイコンが重なったタイミングを基準として判定をする」という内容です。
例えば、左右から円が移動してきて重なったタイミングを基準として判定すると特許侵害です。
ただし、重なったタイミングから時間経過でアイコンの表示を変化させなければ、特許侵害とはならないようです。
他の回避方法としては、「片方のアイコンの位置を固定する」などがあります。

おまけ

現在は特許が切れているが、かつては開発者の頭を悩ませていた特許を紹介します。

プレイヤーとカメラの間の壁を半透明にする

特許第2902352号 コナミ株式会社

3Dゲームのカメラワークにおいて、障害物がプレイヤーを隠してしまうことへの対処法は重要です。
素朴な方法としては、障害物を透明、半透明にすることでプレイヤーが見えるようにできますが、この特許によって他の開発会社は別の対処法を取らざるを得ませんでした。
その結果、「間に障害物が来ないようにする」「ワイヤーフレームで表示する」といった回避方法が取られていました。

ロード中のミニゲーム

特許第2742394号 株式会社ナムコ

ローディング画面が長く表示されるとプレイヤーは退屈です。
そのため、ストレスを緩和させる方法としてナムコはロード中にミニゲームができるようにしてプレイヤーの気を紛らわせました。
しかし、特許が取得されたため、他の開発会社では「TIPS表示」「トレーニングモード」といった回避方法が取られていました。
「トレーニングモードは、メインコンテンツと同じ動作をするゲームなのでミニゲームではない」と言い訳できます。

リズムゲーム

特許第2922509号 コナミ株式会社

「ノートが上から降ってきて、タイミングよくボタンを押すと音楽にあわせたサウンドが再生される」という内容です。
リズムゲームの根幹となる内容なので、非常に強力な特許でした。
その結果、「ノートが来る方向を変える」「必ずタンバリンの音が再生される」などの回避方法が取られていました。

© 2020-2021 Manicreator