『SAVE THE CATの法則』 後半
06/10 2020
アジェンダ
前半
- どんな映画なの?
- どんなジャンルの映画?
- ストーリーの主人公
後半
- ストーリーの構成
- ボードを作ろう
- 脚本の黄金ルール
- 脚本の見直し
- 脚本の売り方
ストーリーの構成
- 筆者独自の15ブロックに分けた構成テンプレートを用意
- 各項目をたった1、2行で簡潔にまとめる
- 脚本は110ページでまとめるべき、各項目のページ数にも気をつける
①オープニングイメージ (1)
- 映画の第一印象
- 映画のスタイル、雰囲気、ジャンル、スケールを決めるもの
- 主人公の出発地点を示す場
②テーマの提示 (5)
- 冒頭の5分くらいで問題を起こしたり、テーマに関連したことを口にする
ex) お金より大切なのは家族でしょ
ex) よく考えてから願いをかけるのじゃぞ - 最初は主人公もわからないが、後々に重要だと気づく
- この主張に対しての是非をこの後の作中で証明していく
③セットアップ (1~10)
- 冒険や旅が始まる前、何かが起こる荒の前の静けさ
- 読み手が関心を持つかなくすかの境目になる
- メインストーリーに出てくる登場人物の紹介を行なう
- 主人公に欠けていること、必要なことを示す
④きっかけ (12)
- 今まで語ってきた世界に変化が起きること
ex) 父親の訃報が届く
ex) フィアンセに振られたりなど
※きっかけは絶対12ページ目
これ以上だと長すぎると飽きられる
⑤悩みの時 (12~25)
- 主人公が何かしらの疑問を抱く
- 悩み、決意するからこそ、主人公は次の展開に進める
⑥第一ターニングポイント (25)
- 古い世界(第一幕)と正反対の世界(第二幕)の境目
- ここで主人公は大きな決心をし、2幕へ進む
⑦サブプロット (30)
- 場面転換であり、新たな視点から捉えたメインプロットであり、息抜き
- ラブストーリーであることが多い
⑧お楽しみ (30~55)
- 観客がポスターなどで一番期待し、楽しめるもの
ex) スパイダーマンなら、突如手に入れた力を試す
ex) バディ映画なら、バディと喧嘩する
⑨ミッドポイント (55)
- 第一幕、第二幕の終わりぐらい大事
- 主人公は、絶好調もしくは、絶不調になる(見せかけ)
- ⑪全てを失ってと対をなす
⑩迫りくる悪い奴ら (55~75)
- ⑨ミッドポイントで絶好調だった主人公の前に、問題が生じ始める
- 問題は大きくなり、⑪全てを失ってに展開する
⑪全てを失って (75)
- ⑨ミッドポイントと真逆の状態に主人公がなる(見せかけ)
- 「死の気配」が使われることが多い
- ここがあるから、古い世界(第一幕)と過去と正反対の世界(第二幕)が融合し、新しい世界(第三幕)への道が開かれる
⑫心の暗闇 (75~85)
- 主人公は深く考え、心の奥底を探る
- この時点ではアイディアが思いつく気配すらない
- 悟りのタイミングで、誰でも共感する
⑬第二ターニングポイント (85)
- 解決策を見つけて、次の幕に行こうとする
- メインプロットと、サブプロットが融合し、解決策を見出す
⑭フィナーレ (85~110)
- 第三幕であり、全てのまとめ
- 教訓を学び、主人公の直すべき点が直り、メインプロットもサブプロットも主人公が勝利して終わる
- 第一幕と正反対の第二幕を経験することで新たな道が開く
- 世界が変わるくらいの大きな変化
⑮ファイナルイメージ (110)
- オープニングニングイメージと正反対
- 本物の変化が起きたことを見せる場
ボードを作ろう
- ボードとは、シーン中身の構成を詰めるための物理的なボード
-
脚本を描き始める前に、様々な要素がうまく行くかを目で確認するため
- ストーリーの軌道
- アイディア
- セリフ
- ストーリーテンポ など
-
ボードを4ブロックに分ける
- 第一幕
- 第二幕 ~ ミッドポイント
- ミッドポイント ~ 第二幕
- 第三幕
貼り付けるカードの内容
- 室内か室外か
- シーンの起きる場所
- 時間帯
- シーンで起きること(簡潔に)
ex) メアリーは、ジョーに離婚したいと告げる
最初やること
- 表現したいシーンのアイデアをカードを好きなだけ貼っていってく
- 最終的には、40枚にまとめるべき
- まだまだ足らないことに気づくし、この先が大変
重要なターニングポイントを抑える
- 誰でも第一ターニングポイントは押さえやすい
- ミッドポイントをしっかり押さえる
カードの書きすぎとブラックホール
- セットアップは3か4つのシーンにする
- まとめられるシーンをまとめる
- 繋がってないシーンを繋がるように埋める
どうしても軽めになっちゃう第三幕
- 初めのうちはどうしても軽めになりがち
- セットアップした主人公の問題点や課題を見直し、解決させる
- 主人公の行動で世界がどう変わったかを見せる
色分けによる構成の確認
- 登場人物のごとのストーリーを色分け
- テーマを強調するシーン、繰り返し使うモチーフの色分け
- サブプロットの色分け
余分なカードを削る
- カードは40枚に絞る(各ブロックで10枚ずつ)
+/-, >< (感情の変化と葛藤)
- 各シーンには、登場人物の感情の変化と葛藤が必要
- +から-、-から+ような感情の変化が無いシーンは蛇足
- 葛藤は原始的に観客の関心を集めるので、必ず1シーンに1つ入れる
ボードの終わり
- ボード作りは時間をかけてしまいがち
- 重要なのは、重要なアイディアは深く、そうでもないアイディアは浅く脳裏に刻むこと
最後に
-
本当に重要なのは以下のこと
- 第一ターニングポイント
- ミッドポイント
- 全てを失って
- 全てのシーンに葛藤を盛り込むこと
- ボードさえ有れば、書き終わらない事がない
脚本を動かす黄金ルール
- 良質な脚本に共通する黄金ルール
save the cat
- 主人公が置かれた状況に観客が最初から、共感できるようにする
- 主人公は必ず共感でき、応援できる人物でないといけない
ex) パルプフィクションの主人公
ex) アラジン
プールで泳ぐローマ教皇
- 状況説明を飽きさせないためのコツ
- 退屈な説明に全く別の面白いことを混ぜる事
ex) ローマの状況説明をする際に、ローマ教皇を泳がせるコメディシーンを混ぜる
魔法は一回だけ
- 説明のつかない魔法のような現象は一回だけにする
- やり過ぎると観客は混乱したり、ついて来れなくなる
ex) UFOに乗ってきたエイリアンが吸血鬼に噛まれて不死身になる
パイプを置きすぎない
- パイプとは、ストーリーの前提や状況説明のこと
- これを置きすぎると、観客はうんざりし、関心をなくす
- きちっとセットアップは、25ページまでに収めるべき
黒人の獣医
- いいアイディアを詰め込みすぎない
- 基本的にはシンプルなほど良いので、混乱しそうなら、さっさとやめる
氷山、遠すぎ!
- 敵役を脅威に感じさせないといけない
- これがないと観客はハラハラドキドキしない
変化の軌道
- 関わる人間、皆が変化するほど観客の心が動く
- いい映画ほど、人生を変えたり、何かにチャレンジしたくなる
脚本の見直し
- 脚本が出来た後の最終確認をする
- 一度出来上がってから、後1週間、出来ればそれ以上置いてから確認
主人公が主導権を握っているか
- 主人公の行動力不足は、問題になりやすい
- 行動の動機や目的が薄く、目的が曖昧なのは、主人公が主体的ではないから
セリフでプロットを語っていないか?
- 出来の悪い作品はセリフでプロットを語る
- 語るな、見せろ
悪いやつはひたすら悪く
- 主人公に問題がないのに、なんだか感動がない時の問題は大抵これ
- 悪役が悪ければ悪いほど、乗り越えた主人公はデカい存在になる
ストーリーの「動き」と「勢い」
- 単に1つの事を追いかけて終わっていると面白くない
- 各登場人物の様々な側面や詳細を見せてストーリーを動かすと観客の心を掴める
- ストーリーが平坦なのも面白くない
- ミッドポイントからラストに向けて緊張感をまし、最後に一気に爆発させるようや勢いが必要
カラフルな感情のジェットコースター
- 良い映画ほど、あらゆる感情を使い果たし、完全燃焼させてくれる
- もし感情面が単調だとおもったら様々な感情がでるように盛り込む
登場人物が生き生きしているか?
- 魅力的な人物は、どこか人と違った話し方、独自の言い方がある
-
セリフにより、登場人物の性格や過去、心の奥の本音や人生観を表現できる
-
面白いテスト方法
- ランダムな1ページを選ぶ
- 名前を隠し台詞を読んで見る
- 名前を隠しても誰がしゃべっているかわかるか?
-
主人公の欠点は十分か?
- 旅の過程が見えない、変化がないと感じるなら主人公に欠点がないことが多い
- セットアップまで戻り、まず最初に欠点を見せて、旅で克服させる
松葉杖と眼帯
- キャラの印象が薄い場合に、良い行動、言い回しで解決出来ない事がある
- 登場人物が誰が誰だかわからない場合は、覚えやすい見た目の特徴を用意
原始人でもわかるか?
- 脇役やサブプロットがうまくいかない時も、この原則が役に立つ
- どの役でも人間らしく行動するためには原始的な動機で行動させる
脚本の売り方
エージェントについてもらうには
- 他人と接し、外に出ていろいろな人に会うこと
- 脚本を売り込む
- 人から紹介してもらう
プロデューサーを見つける
- 自分が売り込みたいジャンルのプロデューサーの名前を一通り覚える
- 自分の好きなジャンルの映画を担当しているエージェントの名前も覚える
神経をすり減らす最初のコンタクト
- 自分自身と作品を相手にじっくり確実に紹介することが重要
- 実際に会って自分を相手に分かってもらうことが肝心だし、最善の手段
- 目先の結果よりも長期的な目標に向かって、信頼関係を築くこと
- まずは安くても一本買ってもらうこと
ネットワーク作り
- 助けてくれる人を作ることも重要
- 様々なことにチャレンジしてネットワークを作る
ex) 映画祭、セミナー、脚本家のサークル、映画の批評の投稿、L.Aに行く、自分のホームページを作成
逆にやらない方がいいこと
- 脚本コンクール
- アホな小細工
プレゼンの成功
- 観客の空気を温めるのも、成功の秘訣の一つ
なるようになるしかない
- とにかく脚本を送る時は、最善を尽くしているはず
- だから後は運に任せるだけ
- 何度も立ち上がりもう一度ヒットを打つ力を持つ
- そして何よりも脚本を楽しんで描くこと